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CLANNAD Key アドベンチャー
パッチの要不要 攻略の要不要 一言感想
問題なく動きました 完全を目指すなら
いつかは参考を
世界の果てで
ダンゴを歌う少女



ネタバレ無しページに続き楽画喜堂さんからお借りしたバナーを使わせて頂きます。
このページでは、ゲームをクリアしちゃっている状態を前提のネタバレが書いてあります。

一言感想は、渚シナリオでの演劇が終わった直後につっこんだセリフからです。
ゲームクリアしたらあまりにダイレクトでびっくりしました。
むしろ、そこで元ネタのある言葉(元ネタはやっぱり「だんご三兄弟」ですよねぇ…)
使っちゃって良いのかとつっこみを2段重ねで入れました。
一応、インタビューに掲載されていた「参考にしたゲーム」の中に
「世界の果てで恋を歌う少女ユーノ」が入っていたのはプレイ前から知っていましたが
「確かに思いっきり参考にしてるなぁ」としみじみプレイしていて思いました。

※「世界の果てで恋を歌う少女ユーノ」は、思いっきりおおざっぱに言えば
時間軸を移動できるアイテムを持った主人公が
ストーリー中の各所にあるアイテムを集めた後、
別世界に行ってそこでできた自分の娘やその別世界を助ける話。
(私がプレイしたのはセガサターン版でしたが、PC版の攻略本を使ってました)

………ある意味参考にしたといわれてすごく納得できる気もしますが、
参考にしても、もちろん全然違う物になっています。


シナリオ

下では各キャラクターについてあげていきます。
出番の多い仁科さんに立ち絵がないのはもったいないと思っています。


古河 渚

個人的にはプレイ前は媚び媚びの絵が多くて好きじゃなかったんですが
ゲームをプレイして一気に好きになりました。
特に曲が良いです。
一人とぼとぼ歩いてうつむき、溜息をついて見上げた渚の真上を舞い散る桜の花びら、
その中を歩き続ける渚の一歩一歩を見守るような曲だと思いました。

シナリオの方ですが、最初の独白は「電波?」と思いかねないほどいきなりでしたが
ゲームを進めれば進めるほどすごく重いテーマを口にしていたのがわかるというのは
かなりにくい演出だと思いました。

だんご大家族も後になればなるほどものすごく重要になっていくところが
「そんな重要なところをそんなキャラで良いの?!」という
どこか間違った方向でのドキドキはらはら感を持って見ていました。
ここまで重要なキーワードを「ダンゴ三兄弟」をイメージさせる
この単語にしてしまって良かったのかどうかは疑問です。

渚シナリオは渚の家族の魅力が強く出ているのに
負けずに個性を出してる渚はすごいのかもしれません。

伊吹姉が出る出ない・春原の妹が渚の家に泊まりに来る来ない・
風子シナリオをクリアしてるかどうかで一部追加があるなど
いろんなバージョンでのシナリオの進め方があり
そう言う意味での幅はヒロインシナリオ中では1、2を争います。

エンディングのやるせなさで「絶対続きがあるな」とわかってしまうので
クリアは後半にした方が良いのかもしれません。


藤林 杏

OPデモがネタバレというのも珍しいかと。(汗)
OPデモを見てしまうと、涼と杏のどちらがヒロインかわかってしまい、
そこから簡単にどんなストーリーが起こりそうか予測できてしまう。
また、シナリオ自体がそれほど大きなどんでん返しが無く
「涼が事故に巻き込まれたかも」というシーンもあっさりすぎてしまい
ひたすら主人公がダメ男になっていくよう、し向けられるシナリオは閉口しました。
どう考えても正論の選択肢を選ぶとバッドエンドになり、
しかもこのキャラの攻略がゲームクリアの必須条件に入っており、
「嫌なのにプレイさせられている」感じがありました。

キャラはたっているけれど、なぜ百科事典をいつも持ち歩いているのか
なぜそれほど妹を大事にしているのか、
そう言った部分が描かれていないので
「オプション付きキャラクター」というどこのギャルゲーにもあるような
凡庸なキャラクターになっている気がします。

逆を言えば凡庸だからこそ安定したギャルゲーの萌え好きは人には
受けるキャラクターなんだろうとも思います。
ですが、その辺りを書き込めば更に魅力あるキャラになったんじゃないかと思います。

杏シナリオは全体的に主人公がダメ男まっしぐらになっていきます。
春原への扱いも度を超し気味です。
確かにへたれ主人公は流行になっている部分はありますが
流行=誰でも好きな訳ではなく、(むしろ反感を買う場合も少なくない)
クリアしようとするときに絶対プレイしなければならないシナリオで
プレイヤーが選びたくない選択を選ばせる作りなのはどうかと思いました。

また、涼シナリオとの分岐が
「髪は短い方と長い方どちらが好きか」という選択というのは
「主人公、本当にそのキャラ好きなのか? 髪型だけで選んでるんじゃないの?」
という、恋愛感情およびシナリオの浅さを感じてしまいました。

そつなくまとまってはいるんですが、そつが無いのと同時に深みもない感じでした。

杏&涼シナリオでの涼へのつっこみ

星座占いに詳しいはずなのに
男性運を占う火星のマークや女性運を占う金星マークが
男女のどちらを指してるかわからないのはおかしいと思いました。

また、タロットカード(大アルカナ)をカード(トランプ)のように切っているのですが
それはタロットカードのカッティング(カードを混ぜること)としては
どう考えても間違っていると思うのですが。
(上下が変わらないので逆位置が出るはずが無い・枚数が少ないので混ざらない)
また、インタビューでシナリオ担当の魁氏は
「タロットカードを調べるのが大変だった」と発言しているのですが
実物のタロットカードで占いをしてもらえばこれらの部分が
おかしいのはすぐわかることのはずなのですが…。
(書物やネットだけで調べ実物で占わなかった場合は
カッティングの方法がわからない場合が多いので、それじゃないかと予想しています)

また、自分の欲望を優先させるため、
姉の恋路を邪魔する事になると承知の上で辛い役目を姉にやらせ
自分より姉を選ぶ主人公に対して
「謝らないでください、許してしまうから」の発言は非常に横柄に見えるのですが。
(自分(=プレイヤー=主人公)を好きでやってるんだから
OKだと思う人は多いのでしょうけれど)


柊 勝平

このシナリオの見所は春原の墓穴の掘りっぷりと
涼のかわいらしさ(と看護士服姿)だと思います。

おもしろおかしく登場して、途中から重い話になり
明るいであろう未来をあえて明言しないことで余韻を出している
一つのシナリオの作りとしてとてもまとまっている話だと思います。

このシナリオでの涼はかわいいしかいがいしいのですが、
こちらの涼を見て杏シナリオをプレイすると
「勝平とくっつける程度しか主人公を好きじゃないなら主人公を姉に譲ってあげようよ!」
とつっこみを入れたくなりました。
その意味では、杏シナリオより後でプレイした方が
「ああ、主人公とくっつけなかったけど涼には素敵な別の未来があるんだね」
と思えて良いかもしれません。

余談ですが作中に出てくる骨肉腫は、
豆粒大の腫瘍がかかとにできたら太ももから脚切断というのが
10年くらい前に聞いた治療の目安だったと思います。


伊吹 風子

Kanonで沢渡真琴が好きだった人は好きになるシナリオだと思います。
ストーリーの作り方的にも、真琴シナリオを更に練り込んだ感じです。

小動物的(ハムスター?)だったり特異な感性のキャラクターですが
キャラ描写が良くできていると思います。
他のキャラクターとの絡み方も自然で良いと思います。

ファイナルヒトデ使い風子もかなり楽しめました。

各ヒロインシナリオの中でもシナリオの出来の良さは屈指で
「Ana」はこのシナリオで使われているシーンに一番相応しいと思いました。

風子シナリオをクリア後に本編後半へ進むと色々思うところは出てきますが
主人公と結ばれる未来や学校に通って主人公を含め
たくさんの友達に囲まれていたかもしれない未来が、来なかった風子が
幸せとは言い切れない人生を持って終わるだけの世界に残った少女と
同時にお互い救われるような終わり方になっているのは
良くできてるなと思いました。


坂上 智代

足技とコンボの魔術師・智代です。
コンボをマックスまで出せるとかなり爽快です。
出来レースにも見えるとんとん拍子の未来を突き進むシナリオには一部首をかしげますが
CGがシナリオの要所要所でバランス良く入っており
学校での日常・休日の風景・他のキャラとの絡みなど
「バランスの良いシナリオ」というイメージでした。

智代と別れた後、残る学生で居られる時間を
終わりまでをカウントダウンしながら過ごす日々の描写は良かったと思います。


一ノ瀬ことみ

シナリオ最後の演出で評価が上がったキャラクターだと思います。
あの演出でストーリーがかなりしまったと思います。
登場時、電波キャラかと心配しましたが
実は幼児キャラで驚きました。
ゲームの中の1シナリオとして整合性を求めたのか、
全体的にあっちのキャラこっちのキャラと要素を詰め込んだがために
ことみはちやほやされまくってる甘やかされたキャラに見えてしまいました。
複線をはってあるのは良いのですが
何故主人公の記憶に残らなかったのかの理由が希薄だったのと
庭が荒れ放題なのはわかるのですが部屋まで荒れているのは、
今までどうやってことみは育ったのかと疑問に思いました。
おせちの材料を買うお金もどこから出しているのでしょう?

恋愛物のキャラとしてはかわいがられる要素をふんだんに盛り込まれたキャラですが
シナリオ的には詰めの甘さを感じました。


宮沢有紀寧





相楽美佐枝






春原陽平&芽衣






古河秋生&早苗




芳野祐介&伊吹公子




幸村俊夫





岡崎直幸






岡崎 汐







全体を通して

出来はとても良いんですけど、「誰がやってもおもしろいか?」というとちょっと首をひねります。
恋愛をメインに押さず、恋愛の「男と女の個人同士のつながり」でなく、
「老若男女を問わない人間同士のつながり」を描こうとしているので、
人生経験の浅い人には「他人事を眺めてる」という距離感が
プレイ中常につきまとうんじゃないかと思います。
もちろん、それなりには遊べるし、楽しいし、良くできています。
が、テーマを理解しゲームの内容に本当に感動するには
プレイヤーの人生経験がある程度必要になると思います。
それがある人とない人とでは、このゲームに対する評価はかなり変わると思います。

つまり、やっぱり人を選ぶゲームという感じです。

私自身は、かなり感動しました。
ゲームとしても堪能しましたし、
「ああ、高校3年のこの時期ってこういう気持ちあるよね」とか
「現実には無理だけど、こうなって欲しいよね」とか頷きながらプレイしました。
だから、評価はかなり高めにつけてます。
でも、わからない人にはわからない部分がかなり多いんじゃないかと思います。

このゲームで、思ったより感動しなかったという方は、
それは「幸福」な証拠なのかもしれません。

より深い感想はネタバレ有りコーナーに書いておきます。