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AIR Key ADV
パッチの要不要 攻略の要不要 一言感想
要りません 詰まったときだけ
使う程度
神尾観鈴の物語

昔々。秋葉原駅そばの公園で。
私は鳩を追いかけていたことがあります。
そのとき1匹だけ掴まった鳩がいました。(爆)

そんな私は神尾観鈴の絶対的な味方ですっ!
たとえ逃げられると判っていても、追いかける時ってあるよねっ!(いや、無い)
でも、レビューはそれとはまた別物です。

「女の子と力を合わせて難関を乗り越えて最後はラブラブに!」
というのを望んでいる方にとっては、このゲームはあまり面白くないかも知れません。
また、「女の子に好かれまくって幸せ」になりたい方にも向いていない様に思います。
ただし、完成度が高い物語を好む方には最適です。

あくまで「男女の愛」ではなく「家族の愛」に主体を置いた話になっています。


「ONE」「Kanon」でおなじみの樋上いたるさんの絵です。
頭身を多めに、目のハイライトは小さめになっています。
陰影がはっきりし過ぎているが為、デッサンが気になる絵がありますが、
総枚数を考えると安定した絵が多いです。

背景は鳥のさん、とても細やかで写実的です。

特筆すべきは塗りです。
とても背景・キャラ共にクオリティが高いです。
水の反射、影の映りこみ、肌を伝う雫など細部まで美しいです。
この着色レベルは業界屈指と言えるでしょう。

音楽
レベルは高いし曲数も多いのですが、
どこかで聞いたことのある様な曲が多かったです。
それでもやはり良い曲なんですが。

ボーカル付きは3曲、うち1曲は挿入歌ですがこの挿入歌がかなり良いです。
今回、どの曲を誰が作ったのかがわかりにくくなっています。
それでもわかる人によると「癖が出ている」そうですので
耳に自身のある方は聞き分けてみると面白いかも知れません。

システム
画面効果という分野で見るととても素晴らしいのですが、
セーブ時などはシステム的で興がそがれます。

画面効果、演出、OPは非常に良くできていると思います。

シナリオ
主人公「国崎往人」は「空にいる少女」を探す旅を続けている。
彼が持っているのは、古ぼけた人形と「触れずとも物を動かす力」だけ。
その旅の途中で立ち寄った田舎町で、一人の女の子と出会い、
一夏を過ごす…。

大まかに出だしだけを言うとこんな風です。
オフィシャルHPでも画像提供していることと、原画集が発売されていることから
とりあえずこの物語が「DREAM」「SUMMER」「AIR」の3つに別れてることを
ネタバレですが書いておきます。
3つに別れていること自体は、勘のいい人ならすぐ気が付くと思います。
開始早々「DREAM」という文字をクリックさせられますから。

主人公になって、出会った女の子「神尾観鈴」達と一夏を過ごし、
その過程で女の子とその家族の絆を取り持つのが、導入部に当たる「DREAM」編、
「空にいる少女」の話が「SUMMER」編、
「DREAM」編で終わらなかった部分を含めてまとめ上げているのが「AIR」編です。
「DREAM」編でヒロイン3人分のエンディングを見終わると、
「SUMMER」編に行けるようになります。
エンディング曲が流れたら、それがその話でのベストエンドです。

シナリオ担当の方が3人居るためか、
ヒロインによってはシナリオの出来に差があります。
神尾観鈴のシナリオは麻枝氏の持ち味が出ていると思います。
(持ち味についてはこちらで書きました)
基本的にどのシナリオもほぼ1本道、遠野美凪だけラストが2つありますが
エンディングが流れるのはやはり1つだけです。

全体を通して
絵(特に塗り)、音楽、演出、ストーリー性、どれもまさしく一級品です。

演出に関しては特に良くできていて、「DREAM」「SUMMER」「AIR」ごとに
タイトルの画像が変わったり、CG・音楽鑑賞の背景が変わったりします。
本編中でも演出に優れているシーンは多く、特に美凪とみちるの屋上シーン
挿入歌が入るシーンなどは見る側を意識して作られているのが良くわかります。

が、シナリオによって話の出来に差があること、
また、「空にいる少女」と神尾観鈴にスポットが当たっているため
他のヒロインがその話の引き立て役になってしまっているところが惜しいと感じました。
それに、口癖が無理矢理付けたような印象があり
いっそ付けない方が良かった様に感じました。
口癖無くてもキャラは立ちます。

このゲームをやって大泣きしました
レビュー書きながら涙ぐんだりしています。
が、人によってはそれほど満足できないかも知れません。
理由は簡単、「ヒロインと自分がラブラブに暮らしました」で終わらないからです。
恋愛ゲームとしてみるなら、それは大きな不満になるでしょう。

そこを考慮に入れても、「神尾観鈴の物語」としての完成度の高さは素晴らしいです。
また、この観鈴というキャラが良く描かれていることも評価を高くする一因です。

万人受けとは言い切れないですが、紛れもなくこのソフトは
素晴らしい1本です。

プレイするすべての方に、どうか最後は幸せな記憶を。