【Top】 【Home】

ゲームタイトル メーカー名 ジャンル
パンドラの夢 ぱじゃまソフト ループADV
パッチの要不要 攻略の要不要 一言感想
無くて充分だけど
リングプロテクトに注意
殆ど要らない 「愛はもしかして
放り投げたブーメラン」

初回特典に関する理由で発売が伸び有名ブランドの大作と発売が近くなる、
CDでは初回限定版しか出さず通常版がない、
発売前からDVD版発売を公表など、
発売までがなかなか波乱の多いゲームでした。

とりあえず絵が綺麗なことと初回特典の「スウのペンダント」「サウンドCD」に惹かれて
初回版購入決定しました。

このゲームに「良」という評価をつけていますが、
部分的には「秀」「優」までつけたいほどの良い部分があります。
正直、「良」とつけた自分自身がその評価に戸惑っています。

何が優れていると感じたのか?
なぜ「良」という評価に留まったのか?
それを下記に書いていきます。

ネタバレを含む考察ページを別に作りましたので気になる方はどうぞ。




原画は大野哲也さん、頭が大きめ、体は細めのキャラでかわいらしい絵柄です。
Hシーンなどにある女の子のあおり構図でデッサンの気になる絵がありますが、
おおむね綺麗な絵が多いです。
同じ絵がアップ・スクロールして何度も表示されますが
アップになっても綺麗に見えることから塗りの良さも伺えます。

また、背景は原画・着色共に美しいです。
この背景の美麗さは今現在出ているゲームの中でも
屈指の美しさだと思います。
また、雨が降るときには雨もアニメーションし、
背景も窓の外でも降る雨がアニメーションしています。
この細やかさは好感持ちます(o^^o)

総CG枚数は多く、アップ・横や縦にスクロールするので
ゲーム中のイベントCG枚数は体感的に多い印象を受けました。
立ち絵は口などこまかいところもアニメーションしているのは良いのですが、
顔の中身だけを変えてバリエーションを増やしている物が多く、
立ち絵枚数は多いのに代わり映えをあんまり感じませんでした。

せっかくの美麗な背景やアニメーションする立ち絵を
CGモードなどで何度も見られないのは残念です。


音楽

Odiakesさん作曲の曲とクラシック曲が使われています。
クラシック曲は良くて当然・悪ければよっぽど収録してる側に問題があるということ。
もちろんこのゲームでは前者なので良くてもプラス評価はしていません。
Odiakesさん作曲の曲はどれも良く、
使われている曲数はBGMは29曲、
それとは別に歌付きがOP1曲、ED3曲の計4曲です。
また、プリズムハートで使われたBGMの一部を変えて使っている物もあります。
(声の入るところが今作キャラに変わっていて笑えました)

ED曲は差別化をあまり感じず、似たような印象を持ちました。

BGM鑑賞モードでOP・EDを聞くことが出来ない事は
非常に残念に思います。

クラシック曲をBGMに使うのは良いんですが、
何曲か使われてるシーンとあんまりあってない曲があるので、
ちょっと勿体ないと感じました。


システム

リングプロテクトがプレイディスクにかかっているので
それに関する不都合は一部の方には出てしまう模様です。
そんな方にもサポートしてくれているようですので、ご安心を。
それ以外ではインストールやプレイに関するバグが無く、
安心してプレイ出来ます。

セーブ・ロードは特殊なイベント進行中以外では随時でき、セーブは20個できます。
CG回収やプレイでセーブが必要な箇所はせいぜい3カ所で、
シーン回想がこまかいことからも20個セーブ出来れば充分じゃないかと思います。

エンディングでは歌にあわせてセリフが進むので、
エンディング中などに他のブラウザを開いて歌だけ進行させると、
メッセージやエンディングテロップが早送りされます。
イベント鑑賞モードにエンディングまで入るので何度でも見直しがききますが、
スウ以外のエンディングはテロップは入りません。
テロップの流れ方がちょっと違うので、チェックしたい方はご注意下さい(^^

「VENUSystem」と名付けられたエフェクトや効果、
立ち絵のアニメーション・雨が降るときの背景アニメーション・
時間が巻き戻るときの時計のアニメーション・
二重にスクロールする画面・要所要所に出る画面効果、
それらを問題なく動かしている辺りはプログラマさんの腕だと思います。
また、それらの効果はとても有効に使われていて、
プレイを楽しくさせる物でした。
「このゲームでしか見られない!」という効果があり、
それが上手く使われているところは素晴らしいと思いました。


インストール容量は音声付きで役1,2GB、
最小は600MB。
インストールサイズはこの二つしか選べませんが、
600MBで上記の演出が滞りなくなされる事を考えても、
やはりプログラマさんが優秀なんだなと思います。


シナリオ

…まず。プレイは音声付きをお薦めしておきます(^^ゞ
胸で奉仕されているシーンで女の子のセリフが
「む〜に、むにゅむにゅ、んっしょ」

で「エロい!」と思う方には音声無しでも良いかと思いますが(^^ゞ

夏休み最後の1週間、美術部の合宿で学校に泊まりこんでいる
主人公達がなぜかその1週間を何度も繰り返してしまう。

ヒロイン達が抱えている悩みや問題、同じ1週間が繰り替えされる謎、
夢に出てくる謎の少女…。
それらが絡み合い、話が進んでいきます。
完全に1本道になっているので、
気に入ったキャラだけを攻略するのはそのキャラシナリオが来るまでおあずけです。

話の題材は面白いと思うし、キャラの掛け合いも助長過ぎず、
でも楽しさは表現してあり文章自体は構成も悪くなく。
シナリオの流れ、話の持って行き方なども、セオリー通りという印象はあるものの、
充分良く出来ていると思います。

が、その折角の良い部分を殺すと言って過言ではないほどの
突っ込みどころが満載です(T_T)

専門的な用語を用いている割に、少しずれている箇所が多いです。
あまりに突っ込みどころや不明のままで終わる謎が多いので
ネタバレを含む突っ込みを、ちょっとした考察・感想も含めてこちらに書きます。

Hシーンに関しては…。
ねちっこく書いてあるんですが殆ど胸に執着しており、
またその胸への執着の仕方もセクハラオヤジっぽく、
普段とは別人になったかのようです(^^ゞ
また、前戯と結ばれてる間のテキスト分量に大きく差があり
(しかも前戯の方が圧倒的にテキスト分量が多い)
山盛りの前菜の後に一口分の主菜を持ってこられた気分になります。
ロボット・巨乳・微乳・過去の体験のあるなしを問わず
胸をいじって一回イク>下半身>女の子が悶えまくって同時に絶頂
というパターンばかりで、場所や体勢などが変えてあっても飽きます。

おっとり系幼馴染み、巨乳の先輩、元気な後輩、メイド兼看護ロボットと
登場キャラの設定は美味しいと思うんですが
設定が生かし切れていない感じがあります。
各キャラシナリオはHも「据え膳があるから食う」といった感じで恋愛とはあまり縁がなく、
全体的に主人公・ヒロイン含めキャラの自己中心さが数多く目につきます。

話に出てくる「母親」は皆ヒステリー、「父親」は頼りない等、画一的な部分を多く感じました。
それぞれのキャラの心にある過去の不幸・トラウマも高校生という年代にはありがちなもので、
話の奥ゆきがあまり出ていないように感じました。

ADVというスタイル・演出や音楽や絵など他の要素のレベルの高さ等から、
どうしてもシナリオに目がいきやすいためちょっときつめになりますが、
題材は良い、書き上げる文章力もある、構成自体は悪くない等を考えると、
詰めの甘さが非常に勿体なく感じます。


全体を通して

詰めが甘いです。(T_T)
詰めが甘くなければ大作と呼んでも良いほど出来が良いです。
折角、良い物になれる要素を多く持っているのに
昇華し切れずにいるのを見るのは、少し辛いです。
スタッフの方々にはもっと上を目指して詰めて欲しかった(T_T)

ゲーム自体は悪くないです。
随所に某有名ゲームや某アニメ映画を思い出させる部分が気になりました。
オリジナルに既製の物を取り込むのなら良いことだと思うんですが、
既製の物にオリジナルを組み込むor一部をオリジナルと交換してる
と言った印象の方が強いです。
それでも上手くまとまってはいるので、オリジナル部分をメインに作ってあったら、
もっと凄い作品になっていたかもしれないと思います。

とりあえず、美麗なCGと演出は一見の価値はあると思います。
…が、やっぱりまんべんなくちりばめられた突っ込みどころが
かなり興を冷めさせます。
Hシーンがちょっと…なので、美麗な上に枚数のあるCGが勿体なく感じました。

また、セリフでもない文末に」がついている箇所や、
「暗闇の中で身を夜を横たえていたが」という一文、
夢に出てきたセリフが現実では出てきていない、
テキストに書いてある内容とCGが一致していない等
デバッグでチェックするべきと思われる部分で良くないところがあったので、
デバッグさんにもうちょっと頑張って欲しかったなぁと思っています。

良いモノの筈なんですが…。
あまりにも惜しいこのゲームを見ると、少し悲しくなります。
もう一声、あとほんのちょっとで、もっと良くなると思うのに。(T_T)
(ネタバレを含む感想・考察・突っ込みはこちらに書きましたので興味のある方はどうぞ)

ネタバレっぽくなりますが、締めに一言。

学校という名の「筺」の中で、逃避という名の「夢」を見続ける…。
この物語の本当の「ループ」とは?
…それはプレイする皆さんがその目で確かめてください。