【Top】 【Home】

特別枠:全年齢版レビュー
ゲームタイトル メーカー ジャンル
CLANNAD Key アドベンチャー
パッチの要不要 攻略の要不要 一言感想
問題なく動きました 完全を目指すなら
いつかは参考を
世界の果てで
ダンゴを歌う少女



楽画喜堂さんからお借りしたバナーを使わせて頂きます。
このページでは、ソフトに付いている冊子・本体発売前に発行された書籍に
載っているまでの情報を基準にして書いています。

ネタバレ有りの方はこちら。
ゲームをクリアしてる状態を前提でのネタバレですのでクリックするときはご注意下さい。

一言感想は、クリア前にゲームをやりながらつっこんだ言葉にしてみました。
ある意味、かなりダイレクトな感想になったと思っています。
CLANNADは、恋愛ではなく「一緒に同じ場所で時を過ごす人」との家族愛・人間愛を描いた
まさしく「大人の童話」といった感じの作品になっています。
もちろん、普通に萌え萌えギャルゲーと思ってもやっていけるだけの作りにはなっていますが
より「物語」を楽しむには隣人愛を理解できることを推奨しておきます。
(ここでいう隣人愛は自分を愛するように家族を愛し、
家族を愛するように他人を愛するという感覚だと思ってください。
自分以外の誰かを失うことが自分を失うことに等しく感じるくらいの
愛情が存在することがわかる程度で大丈夫です)
その意味では、全年齢だけれど18歳以上じゃないとわからない部分の多い、
「18歳以上推奨」ゲームと言っても良いと思います。

「CLANNADと言う言葉は家族という意味ではない」と書いているサイトがありますが、
ゲームをプレイしていくと、このゲームがただの親子・姉妹兄弟の家族ではなく、
もっと大きな人と人とのつながり・愛情をも指していることがわかると思いますので
CLANNADという言葉の意味が「家族」ではなくとも、
このゲームのタイトルとして「CLANNAD」は合っていると私は思っています。




ONEAIRでおなじみの樋上いたるさんが原画です。
童顔ぎみのかわいらしい絵柄です。
ヒロイン・主人公の友人から年寄りの先生・父親までたち絵があり
是非、クリア後には立ち絵一覧をメニューに加えて欲しいところでした。
一部デッサンがおかしい絵・目鼻の位置がずれてるように感じる絵も
多々見受けられ、たち絵とイベント絵が別人に見える物もいくつかありました。
登場人物の一人・古河早苗さんの立ち絵(顔)が
公式HPで公開されているキャラ絵と著しく違うのは驚きました。

CGの塗りは細かく丁寧で、人物は水彩画的な淡い感じ。
イベント絵はパステル風・写真合成風等があります。
背景は緻密で細かく、淡ささわやかさと質感がある塗りだと思います。

イベントCGの中には、公式HPのマスコットキャラや
そのライバルキャラとおぼしき少女が紛れ込んでいる物もあります。

シナリオ中CGは出てくる箇所では一気に何枚も出て
出ないところではいつまでも出てこないという
一点集中な出し方が多く
もっとまんべんなくCGシーンをストーリー中に混ぜて欲しかったなと思いました。


音楽

音楽鑑賞モードが2ページにわたるほど曲数が多いです。
どの曲がだれ担当というのは完全には公表されていませんが
AIRを持っている人はそちらと似たような曲調の曲から
ある程度の判別はつくかもしれません。

ボーカル曲はEDは率直な歌詞でわかりやすく暖かで、
OPはゲームのメインシナリオが進んでいくと歌詞の意味がわかってくる作りです。
歌っているのはriyaさん。
挿入歌はもちろん曲自体も良いですが使われどころも演出も良いですので、
これからそのシーンに入る方は楽しみにしていいと思います。

個人的お気に入りは「渚」です。
BGMとしても良くできていますが曲自体の起承転結が綺麗にまとまっていて
ゲームクリア後に曲を聴くとそのBGMのキャラのシーンが思い浮かびます。


システム

平日は一定期間、毎日日付が変わっていくパートと
個別キャラのシナリオに入る部分とに分かれています。
日付が変わっていくパートでは、天気や学校行事のようなイベントは固定の日で起こります。
基本的には各選択肢でどのキャラクターのシナリオへ行くか分岐しますが、
細かいところで同じ結末へ行く過程が数種類用意されていたりします。
プレイヤー同士でも、ただストーリーを見るだけで進めた人と
何通りもやり込んだ人とでは知っている設定の情報量が違っている場合があります。

快適に動き、動作に問題は特に見受けられませんでしたが
既読の読み戻しができる行数が少ないので
もっと長く読み戻しできるとベターだったと思います。

各所の演出ははっとさせる物があります。
回る・拡大する・飛ぶ・ずり落ちる・引っ張られる春原くんを皆さん堪能してください。(笑)

クリア後のおまけでたち絵一覧や
シナリオ読破達成度などがわかる機能なども付いて欲しいところでした。


シナリオ

麻枝准さんがメインライターで多くのキャラのシナリオやメインシナリオを、
一ノ瀬ことみを涼元氏、藤林姉妹を魁氏が担当という形だった模様です。
キャラの数が多く、立ち絵のあるキャラほぼすべてにエンディングが用意されているため
シナリオ量もかなり有り、
分担作業やそこでの手伝いの方も多かったようです。

大まかに各キャラの傾向を言うと
ギャルゲー系萌えが好きな人は藤林姉妹、
生き死にネタで泣きたい人はことみ、
Kanonの真琴シナリオで泣いた人には風子のシナリオが
それぞれ好評を得るんじゃないかと思います。

基本的に、それぞれのキャラがささやかな幸せを手に入れてエンディングになりますが、
一部バッドエンドでも悪くない終わり方のキャラも居ます。
全体を通して、そのエンドに行ってしまうと
本筋がバッドになってしまうためバッドエンド扱いなのだと私は判断しました。

ボリュームが足りない感じのキャラ、複線をもっと入れられそうだったキャラが複数居て、
そこに不満はありますが全体的なボリュームは充分あります。
各シナリオによって出来に差を感じますし、
人によっては好ましく思われない話になっているシナリオもあり、
それらをふくむ特定キャラをクリアしなければ本筋が終わらないというのは
ちょっと閉口しました。
シナリオライターの披露のためにそう作られたように感じてしまいました。

本編のラストのまとめ方がすごく上手いと感じました。


全体を通して

出来はとても良いんですけど、「誰がやってもおもしろいか?」というとちょっと首をひねります。
恋愛をメインに押さず、恋愛の「男と女の個人同士のつながり」でなく、
「老若男女を問わない人間同士のつながり」を描こうとしているので、
人生経験の浅い人には「他人事を眺めてる」という距離感が
プレイ中常につきまとうんじゃないかと思います。
もちろん、それなりには遊べるし、楽しいし、良くできています。
が、テーマを理解しゲームの内容に本当に感動するには
プレイヤーの人生経験がある程度必要になると思います。
それがある人とない人とでは、このゲームに対する評価はかなり変わると思います。

つまり、やっぱり人を選ぶゲームという感じです。

私自身は、かなり感動しました。
ゲームとしても堪能しましたし、
「ああ、高校3年のこの時期ってこういう気持ちあるよね」とか
「現実には無理だけど、こうなって欲しいよね」とか頷きながらプレイしました。
だから、評価はかなり高めにつけてます。
でも、わからない人にはわからない部分がかなり多いんじゃないかと思います。

このゲームで、思ったより感動しなかったという方は、
それは「幸福」な証拠なのかもしれません。

より深い感想はネタバレ有りコーナーに書いておきます。